Peter Sundeのツイートを見ていたらWindScribeのブログ記事に言及していました。
VPNサービスがレビューサイトを所有している事は問題です。私がVPNサービス(現在はnjallaの一部)を始めたのは、他のVPNサービスをどんな人が運営しているかよくわからないからで、今も知らないままです。VPNの目的が安全であると考えるなら、無名の人が運営するサービスを利用することには意味がありません。
ということで、その記事を翻訳しました。
この記事を読む上で、「WindScribeもまたVPN業者である」という点には留意しておくべきでしょう。
2022/02/14 追記
今度は、SurfsharkがNord Security(NordVPN親会社)との合併を発表しました。発表の少し前には、Surfshark創業者がリトアニアメディアのインタビューに対し、NordVPNやProtonVPNとの関係が取り沙汰されていたベンチャーキャピタルTesonetとの関係を明らかにしていました。2022/02/24 追記
2021年10月、j2GlobalはZiff Davisへと社名を変更しています。Speedtest.netやDowndetectorでおなじみのOoklaも傘下に収めているようです。
繰り返される買収
有名なVPN業者とレビューサイトが、「j2Global」と「Kape Technologies」の2社に相次いで買収されているのです。
j2Global
j2Globalは、IGN・Mashable・PCMagなど有名なテック系メディアを所有するメディア企業で、いくつかのVPN業者を傘下に収めています。
- IPVanish ― 2019年買収
- StrongVPN ― 2019年買収
- ibVPN ― 2020年買収
- SaferVPN ― 2019年買収
- Encrypt.me ― 2019年買収
- BufferedVPN ― 2019年買収
WindScribeはj2Globalの利益相反を指摘しています。というのも、IGN・PGMagなどのメディアはよくVPN業者のレビューを行っているのです。これらのレビューでは、グループ企業である旨が開示されていますが、自らのグループ企業を"レビュー"するのは不誠実だとWindScribeは批判しています。(確かに、「レビュー」と言われると中立的な批評というイメージを持ってしまいます)
Kape Technologies
Kapeは悪名高いことで有名ですよね。以前の社名は「Crossrider」と言い、アドウェアやブラウザ乗っ取りソフトを製作している企業でしたが、2018年サイバーセキュリティ企業に転身しました。Kape・Crossriderの投資家はイスラエル出身のTeddy Sagiという人物で、1996年には贈収賄と詐欺で服役していたこともある曰く付きの人物。
Kape Technologiesへと転身した後、有名VPN業者を相次いで買収し始めます。
- Cyberghost ― 2017年買収(980万ドル)
- Zenmate ― 2018年買収(480万ドル)
- PrivateInternetAccess ― 2019年買収(9550万ドル)
- ExpressVPN ― 2021年買収(9億3600万ドル)
怪しいのはここからです。2021年、KapeはWebSelenceという会社を買収しました。この会社は2つのサイトを保有しているマーケティング企業です。
買収額は14億9100万ドルで、すでに買収したVPN企業を全て合わせた買収額1より高いです。
KapeがVPNレビューサイトを必要とする理由は明白で、セルフプロモーションのため。ということで、vpnMentorによる「ベストVPN」トップ3を見てみましょう。
Kape所有のVPN企業がトップ3を独占しています。
どうせ、一部の企業が不誠実なことをやっているだけ、と思っているならそれは間違いです。別のレビューサイト、VPNRanks.comは「ベストVPN」としてPureVPNを挙げていますが、このサイトのオーナーは誰でしょうか? 正解はPureVPN。最近このランキングを取り下げたようですが。
この後WindScribeの宣伝が続くので省略しましたが、最後にいいことを言っていました。
簡単なVPNの選び方、というかババを引かない簡単な方法があります。VPNの広告や、アフィリエイトの為に宣伝している人を見たら、そのVPNを使わないということです。トラッキングからの保護を謳う一方、シェア獲得のため積極的にトラッキングを利用しているのであれば、それは偽善的で不誠実なのです。
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ExpressVPNの買収はWebSelenceの後なので「全て合わせた買収額」に含みません↩